母の手は何も持てない。母の足は何処へもいけない。
母の口から言葉は出ない。
でも、一生懸命生きてきた。
若いときは夢もあった。父と恋をして、暮らしてきた。
その事も覚えていない。施設に見に行くとそんな母も少し笑う、誰を見てもおびえたように笑う。
それしか自分を守ることが出来ない。
もっと色々してあげればよかったと今は思う。
しかし施設に入る前はせいいぱいしたと思っていた。
全然足りなかった。母のしてきたことに比べたら何もしていないくらいだ。
今は思う。
何時も後からだ、昔母に言われたような気がする。
余り覚えていない。大人と呼ばれてから母の言葉を真剣に聞いたことが無かったか。
思い出そうとしたら子供のころのことを思い出す。
その母は笑っている、優しく楽しそうだ。またみたい。
もし見れたらと思う。
恥ずかしくて言えない。
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